昨今、スマホの普及で高画質な写真を誰も簡単に撮影できる時代。
「スマホ」で写真を撮ることが当たり前になりすぎて、「写真が趣味」と言うと暗に「カメラ」で写真を撮ることを連想するほどです。
そんな中、2021年12月にSONYからデジカメみたいなスペックのスマホが発売されました。
それが『Xperia PRO-I』です。
今回はしばらく使い続けてわかったことや、iPhoneから乗り換えて気づいたことなどを中心に正直なレビューをお届けします。
『Xperia PRO-I』とは
詳しいスペックは置いておいて。
本機種を一言で特徴を表すなら「大きなイメージセンサーを搭載し、カメラに特化したAndroidスマートフォン」
カメラに馴染みのない方は「センサーが大きい」と言われても意味がわからないかと思われますので、イメージセンサーについても少しだけご説明します。
イメージセンサーとはカメラの目とも言われ、取り込んだ光を電気信号に変換する半導体です。
サイズが大きくなると以下3点のメリットを得られます。
①ボケやすい
②階調(明暗差のグラデーション)が豊か
③暗所性能が高い(暗い場所でもノイズを抑えられる)
さて話は『Xperia PRO-I』に戻って。
カメラ部分にはSONYの高級コンデジ「RX100シリーズ」と同等のセンサー(1型センサー)を搭載しています。
※実際には1型センサーの全ての面積を使っているわけではありません。
通常スマホにはスマホサイズに合った小さなセンサーを搭載していますが、本機種はデジカメ用の大きなセンサーが搭載されていると言ったら凄さが伝わるでしょうか。
またレンズ部分はスマホカメラでは珍しくF値(絞り値)を2段階設定ができます。(F2.0とF4.0)
これによりボケを作りたい時はF2.0、全体的にピントを合わせてカリカリの描写で撮影したい時はF4.0というように使い分けができます。
センサーとレンズどちらもカメラに対しての高いこだわりが見えますよね。
公式のプロモーションでも「カメラ、極まる」とのことで、相当な気合の入り方です。
その他については、通常のAndroidスマートフォンと思っていただければ問題ないかと思います。
詳細なスペック等知りたい方は公式サイトをご確認ください。
Xperia PRO-Iのここが好き
- 高級感のある見た目(ビルドクオリティの高さ)
- フロントステレオスピーカーによる音質の高さ
- 期待値を大きく超えた写りではないが、高いカメラ性能
- 高いカメラ性能を発揮するための専用アプリたち
- 512GBの大容量
Xperia PRO-Iのここがイマイチ
- 高すぎる料金設定(税込19,800円)
- 本体重量が重たい(約211g)
- しょぼすぎるインカメラ
- あまりに不安なバッテリー性能
- 既読をつけずにLINEを見れない(Android共通)
美しく高級感のある外観
背面はサラサラのガラスで、滑ってしまいそうなほど手触りが良いです。また、側面のスリットも滑り防止+高級感溢れます。
購入当初は意味もなくスマホ本体をサワサワしてしまうほど。
ただやっぱり滑りやすいので、何度も落下させて傷をつけてしまったのでバンカーリングをつけることにしました。快適です。
期待を上回るほどではないが、カメラ性能は高い
僕は普段からミラーレスカメラを持ち歩いている(通勤時にも)のですが、どこへ行くにも荷物が増えてしまって困っていました。
今回Xperia PRO-Iを購入したのは、普段の何気ない気楽な撮影はXperia PRO-Iに任せて、ミラーレスカメラをお留守番させるため。
わがままな話ですが、Xperia PRO-Iにはミラーレスクオリティを求めているわけではないけれど、気軽な装備で満足のいくクオリティで写真を撮りたいと思い、購入したわけです。
それで結果だけ言えば「十分満足とは言えませんでした。」
いや、正確に言えば「満足なクオリティで撮影できるほど扱いきれない」という表現の方が正しいかもしれない。
今後もカメラは持ち歩こうと思います。
快適な撮影体験のためのシャッターボタン
Xperiaシリーズには側面にシャッターボタンがついていますが、Xperia PRO-Iにも搭載されています。
カメラのように横向きで構えた時に自然と人差し指のくる位置にあり、撮影体験としてはカメラを使っているかのよう。
押し心地はふにふにと柔らかく、最初は半押しと全押しの使い分けが難しいかもしれません。
それでも10分も触っていれば慣れます。
体感的なことですがシャッターボタンに軽く指を置くと半押し、ボタンを押す意識を持って少し力を込めると全押しになるようなイメージです。
海外レビューなどはこの柔らかすぎる押し心地を低評価しているみたいですが、シャッターを押す際のブレの発生を抑えられますので、個人的には良いのではないかと思ってます。
ただしデフォルトではシャッターボタンを長押しすることでカメラアプリが起動するように設定されていますが、ボタンが柔らかすぎるので、ふとした瞬間にボタンが押されて勝手に起動してしまうことが多々。
普段使いをする方はこの設定はオフにすることをおすすめします。
代わりに物理ボタンでカメラ起動させたい場合は、シャッターボタンの横にあるショートカットキーにカメラアプリ起動を割り当てると良いと思います。(デフォルトは動画専用のアプリが起動するようになっています。)
僕はAndroidの元からあるショートカット機能として電源ボタン2度押しでカメラが起動しているよう設定しています。
実はアプリがすごい
Xperiaの撮影体験に欠かせないのがアプリです。
アプリは静止画撮影は「Photography Pro」、
動画撮影(シネマティック)は「Cinematography Pro」
動画撮影(Vlog撮影)用として「Videography Pro」があります。
それぞれのアプリのクオリティーが高く、しっくりくる動作感になっております。
正直Xperiaのカメラの心臓部分と言っていいかもしれません。
写真を撮るなら「Photography Pro」
ボタン一つで簡単きれいな撮影ができる「ベーシックモード」ではQRコードの読み込みやAIによる被写体判断など、iPhoneや他のスマホ同様の操作感になっています。
正直この機種を購入するよう人はこのモードを使う人は少ないんじゃないでしょうか、、。
その他はデジカメのようにオートモード、プログラムオート、シャッタースピード優先、マニュアルとダイアル操作をするかのようにモード切り替えができます。
個人的にたどり着いた普段使い設定は以下の通りです。
- モード:プログラムオート
- ドライブ:1枚撮影
- フォーカス:AF-C
- フォーカスエリア:ワイド
- ISO:基本100で固定(暗い場所では400くらいまで上げる)
- シャッタースピード:露出変更で自動で設定される
- F値:基本2.0
- WB:基本オート、色調整なし
- 保存:JPEG(RAWなし)
ISOは1000くらいまで上げると全体的にノイジーになってしまうので、可能なら低い値で撮影することがおすすめ。手ぶれ補正が強力なのでシャッタースピードが遅くなっても結構耐えられます。
連写性能は高速AFのおかげもあり、非常に簡単に動体の撮影ができます。ただ撮影する場合はシャッタースピード優先で設定するとISOが高くなりがちで、日中の外での撮影以外は使い道が難しい印象です。
夜景撮影はベーシックモードまたはプログラムオートを選択することで夜景モードとして自動できれいに撮影できます。三脚など固定できる環境がある場合はマニュアル撮影でじっくり撮ることも良いですが、個人的には夜景はオートで任せてしまった方が良いと思います。(手ぶれ補正もかなり効きます。)
Vlogにピッタリ?「Videography Pro」
写真同様にISOやシャッタースピード、解像度やフレームレートなど動画に関する設定を細かく指定して撮ることだできるアプリになっています。
色味は後からいじりやすいようにか、コントラストや発色が抑えられた画作りの動画が撮れます。
また特徴的なのがズーム機能で電動ズームのような形で滑らかに動作するところ。
使いこなせば情緒的な映像が撮影できるはずです。
僕は動画撮影に関して全く知見がなく、使いこなせていないのが残念なところです。
使い所むずっ!「Cinematography Pro」
SONYのシネマカメラに操作感を近づけた作りになっているようで、色味も複数の設定から選ぶことができます。(設定は全て英語表記)
また、フォーカスの送りも細かく指定ができるため、手前の人からじんわり奥の背景にピントが合っていくというような趣のある動画が撮影できます。
きっと映画のような作品を撮りたい方には刺さるアプリになっているはずです。
ただ手軽にきれいに動画を撮影するという点で見たら「Videography Pro」の方が圧倒的に使いやすいです。
例に漏れず、動画を撮影しない僕は全くと言っていいほど使いこなせていません。
インカメラ性能は難あり
インカメラは正直一昔前のスマホなのかと思うくらいノイジーです。
写真は「Photography Pro」のベーシックモードでしかカメラ切り替えができません。
また、人を撮ると自動でソフトフォーカスという設定に切り替わり、毛穴などを目立たなくする設定のため、余計画質が悪く見えます。
本気で自撮りするなら公式のアクセサリー(シューティンググリップ+サブモニター)の利用をおすすめします。
下手な作例を少しだけ
iPhoneから乗り換えて気づくこと
まずiPhone Xと比べると重いです。本体サイズが大きくなっているから当たり前ですが、ずっしりきます。
最近のiPhoneシリーズと比べたらそれほど重量差はないかもしれないですが、本体サイズが縦長だからか分かりませんが重量感を感じる気がします。
またバッテリーはすぐ無くなります。よくスマホ触る人は1日は持たないと思います。仕事がある日に空き時間ちょこちょこ触る程度でも帰る頃には50%程度までいってしまうこともあります。
ディスプレイのリフレッシュレートなど設定で工夫すれば良いかもしれませんが、せっかく120Hz駆動するのを設定でなくしてしまうのは勿体無い気がします、、。
そのため僕は仕事中などスマホを触らない時間はスタミナモードにし、実際触っている時にはスタミナモードを解除して少しでも延命できるようにしています。
悪いことばかり言ってもしょうがないので、思いの外良かったことを1つ。
それはスピーカーです。画面側の上下にスピーカーがついているので、動画を見ている時には音に立体感を感じます。
iPhoneのスピーカーの位置ではできない体験ですので、この部分は期待もしていなかった分、感動しました。
最後にXperia関係ありませんが、Android特有の文句を一つ。
それはAndroid版のLINEアプリでは既読をつけずトーク画面を確認することができません。
通知欄から確認したり、既読をつけずに読むアプリを使えば擬似的に既読をつけずにメッセージの内容を確認できますが、iPhoneのアプリ上で簡単に確認できる体験には及ばず、、。
この部分だけでiPhoneに戻したいとも思ってしまうほど。
Android版でもトーク画面見れるよう、LINEさんにはぜひご対応いただきたいものです。
どんな人におすすめできるか
簡潔に。
「カメラの操作に詳しく、バッテリー持ちを気にしない人」だと思います。
「1型センサー搭載したハード」と「そのスペックを引き出すアプリ」のバランスが優れており、もともとデジカメを使っている方にはドンピシャで使いやすいスマホカメラになっています。
ただバッテリー面が心配なところがあるので、モバイルバッテリーを常に持ち歩ける方、または思い切ってコンパクトカメラとしてメインのスマホとは別に持ち運ぶケースがこのスマホには一番あっているように感じます。
最後にXperia 1Ⅳという次期フラグシップモデルの発売が控えておりますが、カメラに特化した作りと高級感のある 本機はまだまだ買い時だと思います。
ただあと2、3年したらスペック的に霞んでしまうと思いますので、欲しい方はすぐ購入することをおすすめします。
SIMフリー端末でキャリアに縛られずご購入いただけますのでぜひ。